伸縮管継手(型式:ヒンジタイプ、ジンバルタイプ)

今回は、製品技術トピックスとして、石油プラントに納入しました、ヒンジ型、ジンバル型につきまして解説いたします。
また、ベローズ材には、INCONEL625LCFを使用した製品でございます。
 
○ヒンジ型【IW910】
ヒンジ型は、配管されたシステムラインの伸びや縮みを通常2〜4台をセットとして使用し、ベローズが角度変位をおこして、伸びや縮みが吸収するタイプであり、設置場所や隣接機器の制約を受けて、パイプサポートアンカーが設置できない場合の配管に有効です。(図1ご参照)
この型では、ヒンジアームがベローズの中心部で交差し、その交差点ではヒンジピンにて結合されており(写真1参照)、伸縮管継手に内圧による推力が作用しても、このヒンジアーム及びヒンジピンにて、その推力を完全に受け止めるため、アンカーに推力を作用させません。
この型は、配管が一平面上にあり、伸びも同様に一平面上に作用する場合にのみ使用します。ヒンジアームは、手前と向側とについているため、配管設置時には、角度変位の方向性が考慮し、設置しなければなりません。
また、ヒンジアームに長穴を空けて使用することにより、角度変位と伸縮とを同時に吸収することも可能です。ただし、この場合、伸縮管継手が縮んだ状態においては、内圧による推力は伸縮管継手自身で吸収しませんので、アンカーについて考慮する必要がございます。
ヒンジ型では高圧になると、ベローズ部が角度変位によりバックリングを起こすことがありますので、山数の考慮も必要になります。
 
 
○ジンバル型【IW920】
ジンバル型とは、ヒンジ型が単一平面に作用するのに対し、多重面(3次元)的に角度変位、角度回転として吸収するタイプです(図2ご参照)。この型では、ジンバルアームが、ベローズの中間外周部にあるリングにヒンジピンにて固定されており(写真2ご参照)、ヒンジ型と同様に内圧による推力を作用させないため、アンカーは不要ですが、パイプの重量を適宜支持できるスプリングハンガーが必要になります。通常、ヒンジ型1台とジンバル型2台を1組として使用することが多くございます。
 
 
○今回、INCONEL625LCFをベローズ材として使用し製作した製品型式
また、写真の伸縮管継手は、ベローズに耐食・耐熱合金INCONEL625LCFを用いております。
インコネル625LCFは、特にベローズ用として低サイクル疲労と冷間加工性 を向上させた材質であり、Ni-CrベースにMoとNbを添加し固溶強化したNi基合金です。優れた耐食性と耐熱性を兼ね備えていることから、化学プラント、ゴミ焼却プラント等の部材として用いられます。
・流体 : Flue GAS
・設計温度 : 760℃
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